特別展:
この度、2024年に逝去された造本作家・デザイナー、駒形克己(1953–2024)を紹介する特別展を開催いたします。
グラフィックデザインの第一線で活躍し、ニューヨークCBS本社での招待状デザイン、コカコーラ・ダイエットのパッケージ、安全地帯やオフコースのレコードジャケット、コム デ ギャルソンやズッカのグラフィックワークなど、多彩なフィールドでその才能を発揮した駒形克己。子どもの誕生をきっかけに本づくりの世界に踏み出すと、その作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)ミュージアムショップにも並び、国内外で高く評価されました。
本展は、駒形克己の創造の軌跡に静かに光をあて、彼が遺した豊かなビジュアル言語と、その奥に息づく思想と感性に触れる機会となります。特別展ならではの視点で、その仕事の広がりと深みを静かに見つめ直すひとときとなれば幸いです。
駒形克己 KOMAGATA Katsumi
造本作家・デザイナー / 1953-2024
1953年、静岡県沼津市に生まれる。1973年に日本デザインセンターに入社し、デザイナーとしてのキャリアをスタート。1976年に渡米し、1981年にはアメリカの大手放送局CBSにジュニアクラスのデザイナーとして採用される。CBS諮問委員会会議キットのデザインでニューヨークADC賞銀賞を受賞。NBAオールスターゲームの招待状なども手がけた。
ニューヨークのデザイン会社シェクターグループにシニアデザイナーとして1982年入社。ダイエット・コークをはじめとするパッケージデザインに携わる。1983年に帰国。1986年にはコム デ ギャルソンとの仕事を始め、同時期にオフコースや安全地帯といったミュージシャンのレコードジャケットのデザインを手がける。駒形デザイン事務所を設立し、1988年にはファッションブランド「ズッカ」のロゴも制作。
娘の誕生を機につくられた本が1990年ニューヨーク近代美術館 MoMAミュージアムショップで発売され、世界へとひろがる。フランスを皮切りに本の個展、ワークショップを世界各地で開催。本からはじまる世界をコンセプトに、九州大学小児医療センター病棟の環境デザインを手掛け、2006年GOOD DESIGN・ユニバーサルデザイン大賞を受賞。2003年フランス ポンピドゥーセンターとのプロジェクト、触察絵本「PLIS ET PLANS」をきっかけにハンディキャップに向き合った本づくりをはじめる。2012年手話絵本の制作を開始するも白血病を発病。骨髄移植を受け退院後、 駒形克己ドキュメンタリー番組がWOWOWプライムにて放送され、国際エミー賞にノミネート。2014年から立教大学、女子美術大学で指導にあたり、世界各地でプロフェッションを対象にKOMAGATA METHODを取り入れたワークショップを開催。2019年エルメスpetit hからデザインの依頼を受け2022年に商品が発売。
2024年没。現在は長女の駒形あいがONE STROKEを引き継ぎ、目の見えない子どもたちのための本づくりや、国内・海外でのワークショップやトークイベントなどを継続して行っている。
展覧会
受賞